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は じ ま り |
「はたけ先輩!ありがとうございましたっ」
きらきらした目の後輩と別れて、はたけカカシは一人帰り道を歩いていた。
本日の任務ランクはA。依頼どおりの内容で、特に予想外の出来事もなかった。最近の任務としては、とても質の良いものだ。更に今日ツーマンセルで組んだ直角のような礼をした後輩は、新しく上忍になったばかりにしては優秀だった。忍としてのセンスも実力も悪くない。
(いー忍になるんじゃないかなぁ)
カカシの足取りは軽い。月が出ているとは言え明るい夜だった。 (あれ?)
月を見上げていれば、ふとカカシどこかから小さな鳴き声が聞こえた。
探すように歩けば茂みに囚われるように小さな、まさしく生まれたてのような子猫が捨てられていた。
カカシは思わずその子猫に手を伸ばす。しゃがみこんで、頭を撫でるとみーと小さな声で鳴く。
「みゃー」
同じような鳴き声をあげると、不思議そうにあまり見開かれていない目で何かを探すように頭を動かす。
「みゃーみゃー」
鳴き声を挙げつづければ猫が動くのが楽しくて、カカシは小さく鳴き声を真似つづける。
うっかりしていたのだ。
確かに人の気配は感じていた。だが、一応ここは道であり、更に木の葉の人間の気配だったため、あまり意識をしていなかったのだ。
ガサリと音がした瞬間、顔をあげると驚くほど近くに一人の男が立っていた。黒い髪をひっつめた男が、驚いた顔で立っている。
(し、しまった!)
「あんた、何してるんですか?」
胡散臭そうな顔で見られてカカシは慌てて立ち上がる。
違うんです、といおうとしたが猫が小さくみーとなく。
「みゃー!」
思わず大声で出た言葉は、そんななんともいえない単語だった。
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