物理部的日常
※想像力が超豊!な方は若干お気をつけください(笑)



「佐久間…」
「あん?」
「…デートってさ、どういう所行くのかな」
 カチカチとキータッチ音に紛れるように振られた会話に、佐久間は思わずにやりとした笑みを浮かべ手を止めた。
 何気なさをよそっているが、明らかにこの話を聞くタイミングを待っていたと、付き合いの長い佐久間には一瞬で分かる。
「ちょ、なんだよその顔。バイト中!」
「いやーほーへー。いやぁ、なぁ? そうかそうか。夏希先輩とどこかに遊びにいくのか」
「な、なななななっ、そ、そんな話はしてないだろっ」
 叫んだ健二は、ガシャっと思わずキーボードを良く分からない平手打ちにしてしまう。
 その健二を見て、更に佐久間がにやにやと見る。
「まーでもデートか…デート言えば…」
 佐久間はこれ以上はからかい過ぎになるかと、一応真剣に考えるそぶりを見せる。
 するとそれに安心したのか、少し不満そうな顔をしつつ健二がストンと元の椅子に座った。
「やっぱ映画とかじゃねぇの?」
「映画かぁ」
「…そういや、お前映画観ねぇよな」
「……観ないわけじゃあないけど」
「……」
「……」
 一瞬二人の間を沈黙が走る。佐久間はおもむろに口を開いた。
「忘れもしない。俺は去年の夏違う意味で俺はガッカリした。お前、一見ホラーとか駄目そうな外見の癖によー」
「そっちが勝手に思い込んでたんだろ」
 昨年の夏。佐久間が面白いらしいと借りたDVDを二人で見たことがあった。
『映画館で観るには、ガチでやばいっていうし』
 迫力ありすぎなのに、自由に叫べない。その環境で見るのは、なれた人間にだけにした方がいいといわれた映画。
 その映画を二人で、観て――。
「それに、矛盾だらけだし」
 佐久間は思い出すと身震いがする。が、健二は不満そうな顔であっさりという。
「……俺は、あの映画監督に本当に同情する」
「っていうか、あれ何を楽しむの?」
「……」
「生き返りなんてそもそもあるわけがないけど、肉体があんなに腐っているのに喋れる訳ないよね。あ、それとも筋肉は残っていて表面が爛れているだけなのかな。にしてはさ、爛れ方がおかしいよね。ぼとって落ちるのに、歩いてるし、このあたりはしっかりしててさ」
 ぶつぶつと健二は呟きながら考え出す。
「虫を体内に飼うのも分かるけど、あれって多分色からして腐肉は――、腐敗も進んでいて細胞がさ――」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁ! もうやめてぇぇぇぇっ」
「あ、これ美味しいかも」
「食うなっ。そんな話をしながら物を食うな…!」
 先にギブアップしたのは佐久間で。
「ああ、もう嫌だ。俺は絶対お前とホラーは観ねぇ」
「僕もホラー以外がいいなぁ。普通にキング・カズマのOMC特集とか見ている方が楽しいし」
「あ! そういやお前聞いたか?」
「え、何々?」
「今度、…OZのあの戦いをテーマにした映画が創られるらしいぜ」
「……どうやって」
「さぁ?」
 佐久間は楽しそうに笑い、健二は小さく息を吐く。けれども、皆がどんな想像をしているのかを、事実を知っている立場から見るのは少しだけ面白そうなのは事実で。
 にやりと少しだけ笑ってしまうと、同じように佐久間も笑っていた。
「完成したら試写会申し込もうぜ。バイト特権で」
「賛成」
 そして二人再び画面に向き合ったのだった。







問題何も解決してないよ!でもそれに気づかないでいてほしい!笑
でも結局佐久間は反省せず、観たいけれど超怖いホラー映画とかあったら、健二をさそってしまいそうな気がする。
で、悲鳴をあげたり震えてる佐久間の横で、暢気にポップコーンとか、何か食べたりしていて、「まじありえねぇ!ガチありえねぇ!」と観終わったら佐久間に罵られてほしい。

パンナコッタさんと前に話をしていたんだけれど、陣内家は血筋的に全員が心霊現象だめだったらちょっと面白い。
(ごめん、ここでこのネタ使っちゃったYO)
理一さんや理香さん、侘助はそれを超隠して論理武装するけれど、実際に何かおきるとめっちゃ無言になったり(笑)
健二だけ余裕でさっさと歩いていったり突撃しちゃうみたいな。
「あれ? 皆さんどうしたんです?」
…なんてね。

健二が怖がりでもそれもまた面白い。